キャッシュフロー中心の経営が企業にとって有益な12の理由

キャッシュフロー経営が注目されて随分と経ちますが、企業を取り巻く環境変化は常に変わり続けています。加えて規制緩和やグローバル化などにより、中小企業といえども各国の会計ルールを超えたキャッシュフローの概念がますます必要とされています。

ポイント1 中小企業から見た金融機関融資はいつ止まるかわからない

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昨今は金融機関にもリスクマネーを貸し出すために従来の不動産担保に頼らない、キャッシュフローをモノサシとした基準で見るようになってきています。中小企業にとって金融機関からの融資はいつ止まるかわからないものです。

 

自衛手段として、銀行以外からの資金調達手段の確保は必須になってきます。

その際の「モノサシ」としてのキャッシュフローは以下の特徴を持っています。

  • 各国の会計ルールや企業の会計処理方法によって変化する財務会計上の損益とは違う一定の客観性に基づく
  • 貸借対照表(BS)は一定期間の資金の動きの結果、損益計算書(PL)はその原因を示すの対して、キャッシュフローではこれらの「プロセス」を表す。
  • 投下した資本に対するリターンをキャッシュベースで把握できる。

 

投資家にとっても金融機関にとっても「いくら使って、いくら儲かるのか」が端的で把握しやすくなっています。

 

ポイント2 大企業がCF重視になるということの中小企業への影響

大企業は国際会計基準に合わせて行くために、キャッシュフロー計算書による財務会計は既に行われています。実際に海外取引においてはCFの動きを見ておかないと、BS、PLだけでは取引を正確に把握できないため、管理会計を導入してより短期的なキャッシュフローを見ています。

 

電子決済やインターネットの普及に伴い、中小企業でも国際ビジネスの機会は増えています。また、事業環境の変化のスピードは増すばかりで、それに加え災害などに備えるBCP(事業継続計画)も重要になってきています。

 

大企業との取引がある中小企業はもちろん、そうでなくても事業環境変化のスピードについていくためには、中小企業もキャッシュフロー重視の経営にならざるを得ません。

 

ポイント3 キャッシュフロー経営とその意義

キャッシュフロー経営管理サイクルにおいて、現金の流れに着目することです。

 

  • 投資に対するリターン(本当に儲かる案件は何か)
  • 在庫の実態や労務費、間接費用の把握、資金管理(本当に儲かる商品は何か)
  • 業績評価(いくら投資していくら儲かったか)

 

以上の点でキャッシュフローを重視することにより、「本当に儲かる事業」への投資や評価、「本当に儲かる施策」の判断と実行が可能となります。これらが、投資家や銀行にとって魅力的な融資先・投資策となり、資金調達力も増すと考えられています。

 

ポイント4 キャッシュフローの考え方

キャッシュフローとは、お金の流れあるいはその額を示しています。

企業活動においては、調達、投資、回収、分配に関わっています。

 

ポイント5 どんな時に倒産の危機を感じるか

下記の表、(社)中小企業研究所の調査によれば、「売上・受注額の減少」に次いで、「金融機関の融資拒 絶・減額」が23%を占めています。自社の売上を確保するのはもちろん必要なことですが、いざという時のために、銀行や社債等の投資家、株主への交渉力を強化し、ファクタリングなどの手法も用いて資金調達を多様化することも必要であるといえます。

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ポイント6 営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー

新規投資評価や業績評価、経営管理を行うために営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローという考え方が重要になります。

 

営業キャッシュフローとは事業から回収までのキャッシュフローで、その水準は事業からの収益の大きさを表しており、営業キャッシュフローがマイナスということは、事業に何らかの問題を抱えていることになります。

 

フリーキャッシュフローは営業キャッシュフローから投資のキャッシュフローを差し引いたものです。事業の健全性・収益性を示しています。営業キャッシュフローがプラスでも事業に過大な投資をしていたり、差別化のための設備投資をしている場合などは、フリーキャッシュフローはマイナスになります。成長段階の企業などはフリーキャッシュフローがマイナスになることも多いので、業種や業態、成長のステージよって見方は変わってきます。

 

ポイント7 営業キャッシュフローの定義

営業キャッシュフローは、純粋に本業の儲けから生まれたキャッシュフローであると考えるため投資・融資のキャッシュフロー等は含まない。

 

営業キャッシュフロー=営業利益+減価償却費

 

ポイント8 フリーキャッシュフローの定義

フリーキャッシュフローは、多くの場合「営業キャッシュフローから、法人税と事業維持のためのキャッ シュフローを差し引いた、企業が自由に使えるキャッシュフロー」と定義されます。ここでは事業に帰属するフリーキャッシュフローと考え、営業キャッ シュフローから事業への設備等投資額全体を差し引いたもの、と定義します。

 

フリーキャッシュフロー=営業CF-法人税等-設備投資額-運転資本増加額

 

ポイント9 事業経営とキャッシュフロー

事業経営におけるキャッシュフローの重視とは難しいことではなく、基本は 「売上を伸ばし、コストを削減すること」です。経営者ならば当然のごとく日々考えてらっしゃることでしょう。重要なことはキャッシュフローの観点からきちんとしたデータを把握したうえで施策を打ち、どの施策でどれだけのキャッシュが稼げるかの判断のもとに、優先順位をつけて実施することです。

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ポイント10 在庫管理とキャッシュフロー

事業の運営において、仕入や増産・減産等の意思決定の際に事業の収益性を把握しようとする場合、PL上の利益だけを見ていたのでは本当に儲かる事業・製品を誤って判断してしまう可能性があります。

 

具体的には、在庫の問題があります。会計処理では、キャッシュを未だ獲得していない製品・商品在庫をBS上の資産として認識してしまうために、PLでは製品・商品のキャッシュベースでの収益性を把握できないという問題があります。

 

例えば、製造業において増産・減産を決定する際、BSとPLでみる利益の観点からは、増産すれば製品 1個当たりの固定製造原価が下がり利益が増加する一方、減産すれば製品1個当たりの固定製造原価が上がり、利益が減少してしまいます。増産に応じて売上が増えるのであれば、増産が正しい判断ということもできますが、売上が変わらない(あるいは減少する)場合、費用を使って在庫を積み増している分だけキャッシュは減少します。これは、卸売業や小売業における仕入による商品在庫でも同じことが言えます。

 

黒字倒産の原因の一つにはこのような判断の見誤りがあることも多いのです。

 

ポイント11 運転資金管理とキャッシュフロー

事業運営では、PL上は黒字でも期中の運転資金に苦労している中小企業は多いと思います。販売の時点で売掛金や受取手形といった形でキャッシュの入金までの時間がかかる一方で、仕入れ費用や従業員への給与など、代金回収前にキャッシュアウトせざるを得ないこともあると思います。このために金融機関から短期融資を受けたりすることもあるかと思いますが、最悪の場合資金ショートします。黒字倒産です。

 

そのため、企業自身が安定的にキャッシュフローを確保しておく努力が必要になります。

  • 支払条件(支払サイトの延長等)の改善
  • 回収条件(回収サイトの短縮、現金取引の拡大等)の改善
  • 資金調達手段の多様化(取引金融機関の増加、直接金融の活用)等による調達の安定化

 

特に資金調達方法の多様化については、ファクタリングなどの売掛債権の流動化などの直接金融を、業績の良い安定しているときにこそ「安心の備えとして」取り組むことが必要となります。

 

ポイント12 業績評価とキャッシュフロー

キャッシュフローを重視した業績評価とは、投資に対して期待されるリターン(営業キャッシュフロー、営業フリーキャッシュフロー)が計画通り生まれているかをモニタリングすることです。キャッシュフローに着目して業績評価を行うことにより、減価償却等の会計基準や在庫等の未実現の収益/費用の影響を受けずに、収益性を判断できます。

 

キャッシュフローに着目した収益性、成長性、安全性の評価指標を、BSやPLと 合せて把握・分析することで、自社の状況をより的確に判断することが可能とな ります。

 

事業環境の変化が速い現代では、企業の安全安心の経営のためには大企業でなくてもキャッシュフロー経営は重要度を増しているといえます。

 

売上を増やさなくても資金を増やす方法

キャッシュに着目して経営してゆく場合、税金を引いた純利益をどう積み上げるかが、目的になっていきます。そのためには必ずしも売り上げを増やさなくても、目標に近づける方法はあるということです。業績が右肩上がりで拡大再生産を繰り返す、高度経済成長モデルではない現代の経営において、税制や事業環境の面からも売り上げが横ばいでもキャッシュを残す方法を模索していかなければなりません。

 

ファクタリングなどを利用した直接金融の比率を高めることは、節税して貯金する目的に向かうこととなり、キャッシュフロー経営に向かうには大切な一手となります。

 

まとめ

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従来のBS、PLのみで経営判断を行うと、現代の事業環境の変化にはついていけないこともあります。気が付いた時にはキャッシュが枯渇しそう・・・という状況にならないように、業績の良い時にこそ、次の一手を打っておくべきではないでしょうか。

 

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