4つの理由からお勧めするキャッシュフロー経営

「勘定合って銭足らず」という言葉がありますが、会社というのは儲かっていようがいまいが、支払うべきものが支払えなくなった時、つまりお金の流れが詰まったときに倒産という憂き目にあいます。そうならないように従来であれば、金融機関と良いお付き合いをしていれば、苦しい時に助けてくれるかというと、そんなに世の中は甘くないのも現実です。

不動産担保価値が低迷している今、新たな指標としてフリーキャッシュフローというのがあります。企業が設備投資や内部留保など戦略的に使えるお金がいくらあるかということです。

そのためには現金の流れを意識したキャッシュフロー経営が必要となってきます。特に中小企業やクリニックなどには大企業の財務部長や経理部長のような数字に強い人材はほとんどの場合いません。経営者自らが学び実践するしかないのです。

 

キャッシュフロー経営とは

business-money-pink-coins

端的に言えば、中心を損益による経営から、お金の貯まり具合による経営にシフトするということです。

 

例えば、500万円を売り上げて、利益が50万円あったとします。そこでその利益で新しい車を購入します。残った現金はゼロになるので、税金は払わなくてよいのかというと、そんなことはありません。資産としての購入となるために全額は費用化出来ないのです。こんなことは経営者ならだれでも知っていることです。

 

このように動くお金が少ない領域では判断するのが簡単なのですが、金額が大きくなり、資産も増えていくとわからなくなるのです。実際に設備投資をするときに、会社の損益をトータル的に見て、自己資金か、借入か、リースか、ファクタリングか、の判断を的確にやれると自信をもって言える経営者はどれだけいるのでしょうか。

 

つまり、キャッシュフロー経営とは現在を基準として未来のお金の貯まり具合を明確にし、目標化する。お金の貯まり具合を中心にした経営を行うということです。

 

その1 会計の構造

売上があることで会社は存在していきますが、会計の構造上、現金の貯まり具合をややこしくしている現象があります。

下記の図をご覧ください。

09sab1

売上高-売上原価-販売費及び一般経費=営業利益

 

(細かく見ていけば、この後さらに細分化されますが、理解度を優先させるために今回はこの数字を使います。)

 

表によれば営業利益は50万円となり、この段階で現金は50万円あることになります。そしてそのお金で車を購入します。一般的にはこれで収支トントンの状態と考えることが出来ます。

 

しかし、会計の世界では規定された車や設備などの経費を一括で落とすことが出来ないからです。これが減価償却というものです。この場合経費として計上できるのは5年で10万円ずつと計算すると(個別の詳細な減価償却計算については担当の税理士さんにお尋ねください)

09sab2

 

そうすると会計上は販売及び一般管理費が10万円増えて、営業利益が40万円になります。。。。とここで終わりません。

 

その2 税法との関係

前述の会社は現金がゼロなのに、40万円の利益が出たことになっています。ここに税金(一般的に40%くらいですが、業種によっても優遇等があります)がかかってきますので、下記のように16万円の赤字になります。

09sab3

利益が24万円あるのにもかかわらず、手元には現金がなく、16万円を融通してくれる人を探さなければなりません。これが「勘定合って、銭足らず」の原因のひとつです。

 

非常に簡単ですが、キャッシュフローを考える上では納税資金というのは常に考えておかなければいけないことです。

 

その3 儲けの構造

ここでは流通業を例にとって解説してみたいと思います。

09sab4

月初めの在庫が50万円、今月の仕入れが300万円、月末の在庫が80万円となりますので、(50万円+300万円-80万円)270万円が原価です。

20%の利幅をのせて販売しているので、売上高は337.5万円、利益は67.5万円になります。当たり前ですね。

 

ところが右側の表では現金残高は37.5万円しか増えていません。利益が形を変えたのです。さらに租税負担分を40%で計算すると、最終で現金残高の増加は10.5万円になります。

09sab5

 

もう少し多めに仕入れをしていたら、納税資金をまた借入することになりました。。。

 

その4 収入と支払

ここではキャッシュフローを回収という観点から見てみます。

09sab6

この表は前年12月から当年1月―12月までの売上高、回収、経費、臨時経費、、キャッシュフローの順番で並んでいます。売上金の回収は月末締めの翌月回収、費用は当該月の支払いという形で便宜上示している例です。

 

売上は翌月に回収されています。残額とはとの月の売上とその月の回収金額の差です。

 

経費率とは便宜的に平均的な総資本経常利益率(ROA)5%を参考に算出しています。これは売上に対して95%が費用として消えてしまうということになります。

 

7月と12月にはボーナスがあったりして、単月で見ると入金と出金のズレにより赤字が発生しているのがお分かりいただけると思います。

年間で見ても利益380万円に対してキャッシュは280万円と誤差が出ているのがわかります。これに納税分(この場合約152万円)支出されますので、実際は128万円のキャッシュということになります。

 

ここでは減価償却と棚卸在庫のことは話が複雑になるため避けていますが、本来はこれが加味され、さらに借入がある場合は元本返済があります。。。

よほど慎重にならないと、赤字を出してしまいますね。

 

仮に回収率が5%落ちて95%になってしまったらどうなるでしょうか。

09sab7

 

利益は全く変わらないのに年末のキャッシュは295万円のマイナスになってしまいました。恐ろしいことに先ほどと同じく152万円の納税をすると447万円のキャッシュ不足が生まれて資金手当てしないとつぶれてしまうという事態になるのです。

 

売上が同じでも、支払いサイト、回収率の悪化によってキャッシュ不足が起き、倒産の危機に瀕することもあるということがお分かりいただけたでしょうか。

 

なぜキャッシュフローで経営が変わるのか?

仕入が無くて現金回収できるビジネスというのはそう多くはありません。BtoBであればなおさらです。損益のみを重視している従来型の経営では、一つ間違えば黒字のまま手元資金が無くなり、倒産してしまう危険さえあります。

会計の構造上、損益計算書と貸借対照表だけで経営をするのには限界がありますし、スピードが出ません。

キャッシュの流れを意識すれば、無駄遣いとしか言いようのない「節税の罠」にはまることもなくなりますし、無意味な借入がキャッシュの貯まらない無限ループになるということがわかります。確実に貯蓄額や内部留保が貯まるゴールに向かうことで節税の方法が変わるはずです。

回収の確実なお客様を大事にするようになりますので、顧客満足度も上がります。

 

まとめ

business-163870_640

単純に利益が出ているか、いないか、黒字か、赤字か、といったこれまでの経営を改め、これからは、現預金のたまりも考慮に入れた経営(キャッシュフロー経営)を目指していただくことが必要になります。

融資側からみても、それが明確でない企業に貸付することは、かなりハイリスクになるのもお分かりでしょう。

戦後の一貫した成長策で、出た損失をインフレの手伝いもありカバーしながら中小企業は生き延びることができたという歴史があります。しかし、これからはそうはいかなくなってきています。

キャッシュフロー経営を行うということは倒産しにくい企業を作ることになります。損益による経営はもちろん大事ですが、実質のお金の貯まり具合を見ながら経営をすることも大事なのではないでしょうか。これがキャッシュフローを中心にすえた経営です。

もちろんこれには、きちんとした経営計画により実現されていく事になります。

特にクリニックなどの医療機関の場合は保険診療の7割が12か月の売上に対して、10か月分の入金しかないということになります。この現実を正確にコントロールしないとお金は貯まらないことになります。

SNSでもご購読できます。

コメント

Comments are closed.