
節税という名目で無駄遣いとも思えるお金の使い方をする経営者の方がいらっしゃいます。一見無駄に見えてもそこに戦略があればよいのですが、他人からはわからないものです。
ここでいう節税とは、少しでも多くのお金を貯めていくために行う税金の賢い払い方というふうに定義させていただければと思います。
目次
理由1 ファクタリングは借入ではない
ファクタリングというのは売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらいキャッシュの前払いを受ける金融手法です。そのままですが債権の売却であり、売掛債権を担保にした借入ではありません。
理由2 借入には元本返済がある
借入でないということは、どのように納税と絡んでいくかということですが、一番の原因は借入には元本返済があるということです。当然ですが、資金を借りた場合は毎月の返済があります。毎月の返済のうち金利分は経費として算入できますが、元本部分に関しては、経費計上は出来ません。
理由3 元本返済するには原資としての純利益が必要
そのため元本返済の原資は純利益から支払うことになります。純利益とは損益計算書(PL)でいう5つの利益「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」のうち、「当期純利益」にあたる部分です。
理由4 純利益を計上するには納税額を引かなければならない
「当期純利益」は「税引き前当期利益」から法人税等の税金を支払ったあとの利益です。つまり税金を支払った残りからさらに借金の返済(元本分)を行うというわけです。
仮に3000万円を金利0%で借りた場合(ありえませんが)、優遇税率枠を使っても750万円の税引き前利益がゼロになります。
理由5 借入でなければ純利益を残せる
これが借入でない場合はどうでしょうか?
分かりやすくするために借入による資金調達とファクタリングによる資金調達を比べてみます。(売り上げもコストも全く同じと仮定します)
節税する為には経費を増やし課税所得を下げる必要がありますが、手数料で経費を増やし課税所得を下げた結果、手元に資金が残りました。
ここでの注目点は2つです。
- 金利と手数料は比較しても意味がない
- 納税額と手数料のバランスが資金を残すコツ
借入を続ける限り、手元資金を貯めるのはすごく難しいことがわかります。
理由6 残すべき純利益をどう貯めるのか
また、売掛債権買取利用の場合は納税の前にもう一段階、検討の余地があります。
借入の場合は元本を返済しなければいけないため、課税所得は1000万円以上ないといけませんが、下段の売掛債権買取利用の場合は納税前の1040万円に対して、保険などによる利益繰り延べの手段をとることも出来ます。
理由7 無駄遣いは節税ではない
節税というと中古のベンツを買うとか、オフィスの机やいすを入れ替える、従業員に臨時ボーナスを出すなど、大きく利益が出たときに行われます。
しかし、経営を長くやっていると、良くない年もあります。良い年に税金を支払い内部にお金を貯めておかないと、悪くなったらアウトです。
必要のないものは買わない、利益を生まない資産は持たない、無駄な資産は売却する、利益を繰り延べしてでも蓄財するという基本以外は右肩上がりが当たり前でなくなった現代には合っていないように思えます。
クライシスに耐え抜いた企業しか残らない
経営が悪くなるというのは、多くの場合、売り上げの減少です。事業環境の変化やイノベーションによる市場の変化などによるものです。しかし、ほとんどの経営者はこれに対しては何らかの手を打っていると思われます。
むしろ、気を付けるべきはリーマンショックのような世界的な事件や自然災害のような避けられないクライシスに耐えうるためにお金を貯める経営をするしかないのだと思います。
まとめ
節税の目的は「税金に取られてしまうぐらいなら、使ってしまえ」ではありません。もしもの時でも、家族と従業員は守れるように会社の金庫と経営者の家計にお金を貯めるためです。その手段としてのファクタリングには多くの可能性があります。
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